ラテン語と同じくラテン文字を用いて表記します。 表記と音の対応が非常に素直であり、 表記の通りに、いわゆる「ローマ字読み」をすればだいたい大丈夫です。 ASCII文字のサブセットなので、電算処理的にもやさしいです。
ラテン文字 | 音価 | 英単語の例 |
---|---|---|
A a | /a/ | Art |
B b | /b/ | Beer |
C c | /k/ | Cake |
D d | /d/ | Direct |
E e | /e/ | Express |
F f | /f/ | Family |
G g | /g/ | Grand |
H h | /h/ | Have |
I i | /i/ | Italia |
J j | /j/, /ʒ/[VLG] | You, Journal |
K k | /k/ | King |
L l | /l/ | Long |
M m | /m/ | Mother |
N n | /n/ | No |
O o | /o/ | Orchestra |
P p | /p/ | Problem |
Q q | /kʷ/ | Question |
R r | /r/ | Red |
S s | /s/ | clasS |
T t | /t/ | Table |
U u | /u/ | Ultra |
V v | /w/, /v/[VLG] | West, Victory |
X x | /ks/ | syntaX |
Y y | /j/ | You |
Z z | /z/, /ʦ/[VLG] | Zoo, caTS |
母音は a, e, i, o, u の5つです。
口を横に引く----口を縦に伸ばす
i-----------u
\ / 口を閉める
\ / |
e-----o |
\ / |
\ / 口を開ける
a
標準MCのアクセントの付け方は、強弱アクセントです。 アクセントを明示する場合は母音の上に重アクセント記号を付します (à, è, ì, ò, ù) が、 文法上あまり重要でないため通常は書きません。
たいていは後ろから2音節目にアクセントがあり、強く読みます。
後ろから1音節目や3音節目などにアクセントがあるケースもあります。
フランス語の ai「エ」や oi「ォワ」のように複数の母音字が組み合わさって特徴的な別の音を読むようなことはありません。
c はロマンス語の中でも多彩な音へ変化した、ぶれの大きい文字です。 口を縦に伸ばす ca, co, cu では一貫してか行音「か」「こ」「く」を呈しますが、 口を横に引く ce, ci は、 イタリア語式ではちゃ行音「ちぇ」「ち」、 フランス語式ではさ行音「せ」「し」、 そしてスペイン語式では下を歯につけるいわゆるθ音を呈します。 標準MCとしては、すべてか行音 ca /ka/, ce /ke/, ci /ki/, co /ko/, cu /ku/ とします。
基本的には素直に「は行」音です。 現代的には無音となりますが、 標準MCとしてはしっかり「は」音を出す古典ラテン語式を基本とします。
h を従える二重の子音 ch, ph, th があります。 これは古典ギリシア語の息を多く含む音に由来するものです。 標準MCでは h の示す息をなくした古典ラテン語式(phはfに変化)を基本としますが、 もちろん、他の方式で読んでもらってもかまいません。
j, v は古典方式、つまり日本語でいうところの「や」「わ」の音を基本としますが、 現代のフランス語、イタリア語、あるいは英語の方式で「じゃ」「ゔぁ」と読んでもかまいません。
q は qua, que, qui, quo, quu のときにだけ現れ、/kʷa/ くゎ のように読みます。 とはいえ、あまり /kʷ/ の音を厳密に守らなくてもよく、 /kua/ くあ や /kva/ くゔぁ と読んでもかまいません。
aqua /akʷa/, /akua/, /akva/ ― 水
x は /ks/ くす の音を表します。 このため原則 cs の綴りが表れることはありません。
lexicum /leksikum/ ― 辞書、語彙集
k, y はギリシア語由来の文字です。 音は c, j と同じで、それぞれ「く」「ゆ」と読みます。 c, j はラテン語本来ないしラテン語に帰化した語、 k, y はギリシア語を主とした外来語で使い分けます。
z もギリシア語由来の文字です。 ラテン語から現代ロマンス諸語にかけて c /k/ や t /t/ を含む一部の音が /ts/ さらには /s/ の音に変化するようになり、 これを表すために z や ç(cの下に小さいzをつけたもの)を使うようになりました。
しかし、標準MCの音は古典ラテン語をほぼそのまま踏襲していますので、 現代ロマンス諸語のようにラテン語本来の語に z の字を使うことはありません。 ギリシア語やその他外来語で /z/, /ts/ の音を表す際に使います。